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椿姫

Venueテアトロ・レージョ・ディ・パルマ
Calendar土 02 10月 2027 - 日 24 10月 2027
あらすじ / 詳細

1851年から1853年にかけて、ヴェルディを大衆の好みの深いところにまで確固たる存在として定着させた一連のオペラの第3作である《椿姫》は、1853年3月6日にヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演された際、部分的な失敗に終わりました。しかし、数か月後にはその評価を大きく挽回し、今日では世界で最も頻繁に上演されるオペラとなっています。

ヴェルディを強く魅了した社会から疎外された人々の世界は、2年前の《リゴレット》によって幕を開けました。その世界に登場するヴィオレッタ・ヴァレリーは、アレクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』に登場するマルグリット・ゴーティエをモデルとしています。彼女の人物像には、感傷主義に取って代わろうとしていたブルジョワ社会の偽善を鋭く告発する要素が加えられました。このテーマはすでに《スティッフェーリオ》でヴェルディの関心を引いていましたが、《椿姫》でついに完全な形で結実します。

ヴェルディは、この主題上の革新を、絶え間ない旋律的な創意によって高められた劇的な力、音楽を日常会話の水準に近づける朗唱的な作風、そして豊かな響きを持ちながらも明快な構成のオーケストレーションと結びつけました。これらの要素によって、このオペラは一気に時代を超えた現代性を備えることとなり、初演時のヴェネツィアの観客を驚かせたのも当然のことでした。

これは、きらめく剣や陰謀を描くオペラではなく、日常のささやかな仕草を描くオペラです。短剣で刺される登場人物たちの物語ではなく、咳をしながら息を引き取る女性の物語なのです。それまで金銭を伴う恋愛関係に身を捧げてきた女性を、ヴェルディは貞淑で立派とされる女性たちと同じ位置に置きました。それは当初、世間を十分に驚かせるものでしたが、時がたつにつれて人々の心を深く揺さぶるようになります。なぜなら、《椿姫》は私たち一人ひとりに、あまりにも身近な形で語りかけてくるからです。

ジュゼッペ・マルティーニ

 

あらすじ


時と場所:18世紀初頭、パリ

 

前奏曲

第3幕冒頭の場面の哀愁をおびた旋律が奏でられたのち、第2幕でヴィオレッタがアルフレードに別れを告げる場面の旋律が引き継ぐ。華やかに装飾しつつも、どこか物悲しい気分を作り、静かに終わる。

 

第1幕

ヴィオレッタの住む屋敷。今夜も賑やかなパーティーが 開かれており、女主人は来客をもてなしている。そこへアルフレードがガストーネ子爵の紹介でやってきてヴィオレッタに紹介される。歌を1曲歌うよう勧めら れた彼はいったん辞退するが皆の再度の勧めでグラスを片手に準備をする。一同の沈黙と緊張のなかアルフレードは情熱を込めて歌い、ヴィオレッタが加わって デュエットになる。さらに皆が加わって華やかに歌い上げる(「乾杯の歌」)。

皆が別室に行こうとしたときにヴィオレッタがめまいをおこして椅子に座り込む。何でもないからと一人部屋に残った彼女の所にアルフレードが来る。ア ルフレードはヴィオレッタに、こんな生活をしていてはいけないといい、1年前からあなたを好きだったと告白する。ヴィオレッタは最初は軽くあしらうが、彼 の真剣さに少し心を動かされる。ヴィオレッタは椿の花を渡して再会を約し、「この花がしおれるころに」という。有頂天になるアルフレードに「もう一度愛し ているといってくれますか」とヴィオレッタが尋ねると、「はい、何度でも!」と彼は応ずる。

アルフレードに続き来客が去って一人になったヴィオレッタは物想いにふける。「不思議だわ」(作品を通じ、彼女はこの言葉を各幕で1回、計3回繰り 返す)と純情な青年の求愛に心ときめかせている自分の心境をいぶかる。そして、彼こそ今まで待ち望んできた真実の恋の相手ではないかと考える(「ああ、そ は彼の人か」)。しかし、現実に引き戻された彼女は「そんな馬鹿なことをいってはいけない。自分は今の生活から抜け出せる訳が無い。享楽的な人生を楽しむ のよ」と自分に言い聞かせる。(「花から花へ」)彼女の中でアルフレードとの恋愛を肯定するもう一人の自分との葛藤に、千々に乱れる心を表す、コロラトゥーラ唱法を駆使した華やかな曲で幕切れとなる。

 

 

第2幕 

第1場  パリ郊外のヴィオレッタの屋敷

二人の出会いから数ヶ月が経った。ヴィオレッタは貴族のパトロンと の華やかな生活を捨て、この家でアルフレードと静かに暮らすことを選んだのである。彼女との生活の幸福を語るアルフレード(「燃える心を」)は、丁度帰宅 した召使いから、この家での生活費のためにヴィオレッタが彼女の財産を売却していたことを聞き、気付かなかった自分を恥じるとともに売ったものを取り戻そ うとパリに向かう。

そこへヴィオレッタが登場し、彼のパリ行きを聞き(理由は知らない)、いぶかる(2度目の「不思議ね」)。そこにアルフレードの父親ジョルジョ・ ジェルモンが突如来訪する。驚きながらも礼儀正しく迎える彼女に、あたりを見回し「息子をたぶらかして、ずいぶんと贅沢な暮らしをしていますな」といきな りなじったため、ヴィオレッタは「私の家で女の私に失礼なことを言わないでください」と毅然と応じ、たじたじとなるジェルモンに秘密を打ち開ける。彼女が 自分の財産を息子との生活のために手放しつつあることを知ったジェルモンは非礼を詫びる。アルフレードをどんなにか愛しているかと理由を説明する彼女に対 し、ジェルモンは本題を切り出す。息子と別れてくれというのである。駄目ですと即座に断るヴィオレッタに、彼はアルフレードの妹の縁談に差し支えるから、 助けて欲しいと迫る。ついに要求を受け入れ、彼女は身を引くことを決心する。しかし単に家を去ってもアルフレードは追いかけてくるだろう。方法は任せて下 さいと請合うヴィオレッタに礼を言って、父ジェルモンはいったん去る。

一人になったヴィオレッタは一計を案じ、アルフレードに手紙を書く。彼女はアルフレードと別れて元のパトロンと の生活に戻る、という偽りのメッセージを送ろうとしたのである。そこへアルフレードが帰宅する。彼は父が訪ねていくという手紙を見て、すでに父が来たとは 知らずに、ヴィオレッタに大丈夫だなどという。ヴィオレッタは、アルフレードの父が来るなら席を外して庭にいると言いその場を去る。別れ際に彼女は「アル フレード、いつまでも愛しているわ、あなたも私と同じだけ愛して。さようなら」と第1幕の前奏曲の後半の旋律で歌う。アルフレードは彼女の様子を不審に思 うが、父親が来ることに動揺しているのだと思い込む。アンニーナが登場し、ヴィオレッタが急遽出かけたこと、手紙を預かったことを告げる。不安にかられつ つ手紙を読み、アルフレードは自分が裏切られたと思い込んで激怒する。そこに父ジェルモンが再登場して、息子を慰め、故郷のプロヴァンスに帰ろうとなだめる(「プロヴァンスの海と陸」)。しかし息子は自分の受けた恥辱を濯ぐのだといい、パリに向かう。

第2場パリ市内のフローラの屋敷

相変わらず貴族と愛人たちが戯れあう日々である。丁度仮面舞踏会が開かれている。フローラとオビニー侯爵、グランヴィル医師らは、アルフレードとヴィオレッタが別れたという噂話をしている。ジプシーの占い師やマタドールなどの仮装の後、アルフレードが登場、彼らはカードの 賭け始める。そこにドゥフォール男爵にエスコートされたヴィオレッタが登場、ドゥフォールはアルフレードを避けるようヴィオレッタに指示する。アルフレー ドはつきまくり、ヴィオレッタへの皮肉を言う。それに激高したドゥフォールも賭けに参加するが、ドゥフォールはアルフレードに大負けする。そこに夕食の準 備ができ、一同退場する。アルフレードとドゥフォールも後ほどの再戦を約束して退場する。アルフレードの身を案じたヴィオレッタは彼を呼び出し、自分のこ となど忘れ、逃げて欲しいと訴える。それに対してアルフレードは復縁を迫るが、ジェルモンとの約束で真意を言えないヴィオレッタはドゥフォールを愛してい ると言ってしまう。それに激高したアルフレードは皆を呼び出し、これで借りは返したと叫んで先程賭けで得た札束をヴィオレッタに投げ付ける。自分の真意が 伝わらず、皆の面前で侮辱された彼女は気を失う。一同がアルフレードを非難しているところに父ジェルモンが現れ、息子の行動を諌める。自分のやったことを 恥じるアルフレードと、真相を言えない父ジェルモンの独白、アルフレードを思いやるヴィオレッタの独白、ヴィオレッタを思いやる皆の心境をうたい、ドゥ フォールはアルフレードに決闘を申し込んで第2幕を終わる。

 

 

第3幕の前奏曲   第1幕前奏曲と同じ音楽が、やはり弦楽合奏で始まる。いっそう悲痛な調子で演奏され、アルフレードに愛を告げる音楽はもはや登場しない。切れ切れになったフレーズでひっそりと、弱々しく終わる。

 

第3幕 

パリのヴィオレッタの屋敷

数ヶ月が経った。アルフレードは男爵と決闘して勝ち、男爵は傷ついたが快方に向かっている。国外に出たアルフレードに父親は手紙を書いてヴィオレッ タとの約束を告白し、交際を許すことを伝えてヴィオレッタの元にもどるよう促しており、そのことをヴィオレッタにも手紙を書いていた。しかし、皮肉なこと にヴィオレッタの生命は尽きかけていた。持病の肺結核が進行していたのである。

幕が上がると、ヴィオレッタがベッドに寝ている。彼女はアルフレードの帰りを今か今かと待ちわびている。何度となく読んだジョルジョからの手紙をも う一度読む(ここは歌わずにほとんど朗読する)。読み終わった彼女は一言「もう遅いわ!」と叫び、過ぎた日を思って歌う(「過ぎし日よ、さようなら」)。 「ああ、もう全ておしまい」と絶望的に歌い終わると、外でカーニバルの行進の歌声が聴こえる。

医師がやってきてヴィオレッタを診察し励ますが、アンニーナにはもう長くないことを告げる。そこにとうとうアルフレードが戻ってくる。再会を喜ぶ二 人は、パリを出て田舎で二人楽しく暮らそうと語り会う(「パリを離れて」)。しかし、死期の迫ったヴィオレッタは倒れ臥す。あなたに会えた今、死にたくな いとヴィオレッタは神に訴える。そこに医師や父ジェルモンが現れるが、どうすることもできない。ヴィオレッタはアルフレードに自分の肖像を託し、いつか良い女性が現れてあなたに恋したらこれを渡して欲しいと頼む。

彼女は「不思議だわ、新しい力がわいてくるよう」といいながらこと切れ、一同が泣き伏すなかで幕となる。

キャスト

音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ

指揮:ミケーレ・スポッティ 演出:エンマ・ダンテ

アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団 パルマ・レッジョ劇場合唱団 合唱指揮:マルティーノ・ファッジャンニ

会場
テアトロ・レージョ・ディ・パルマ

テアトロ・レージョ・ディ・パルマは、当初「ヌオーヴォ・テアトロ・ドゥカーレ(新公爵劇場)」として建設された、イタリアのパルマにあるオペラ劇場およびオペラ団体です。

老朽化した劇場に代わる施設として建設された新しいドゥカーレ劇場は、1829年以降、その名声を高めていきました。特に、パルマから約30キロ離れたブッセート近郊で生まれた作曲家ジュゼッペ・ヴェルディが名声を獲得すると、その評価はさらに高まりました。また、1867年にパルマで生まれた指揮者アルトゥーロ・トスカニーニも、この街を代表する著名人として知られていました。

リー・マーシャルが指摘したように、「ミラノのスカラ座やヴェネツィアのフェニーチェ劇場ほど有名ではないものの、この街のテアトロ・レージョは、オペラ愛好家からイタリアの偉大な伝統を今に伝える本拠地の一つと見なされている。また、目の肥えた観客が、ギャラリー席からだけでなく、賛否を率直に表明することでも知られている」のです。

1,400席を備え、4層のボックス席とその上のギャラリー席からなる客席は、1829年5月16日、ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作曲のオペラ『ザイーラ』の初演をもって開場しました。この公演はその後さらに7回上演されましたが、パルマの観客にはあまり人気がありませんでした。当初、劇場のこけら落としのための作品はロッシーニに依頼されていましたが、多忙だったため、ベッリーニがその役目を担うことになりました。しかし、開場シーズンには『モーゼとファラオ』『セミラーミデ』『セビリアの理髪師』を含むロッシーニのオペラ3作品が上演されました。

現在、この劇場では毎シーズン1月中旬から4月にかけて約4作品のオペラが上演されています。また、2003年からは毎年10月にヴェルディ・フェスティバルが開催されています。

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